「島ー見ぃらんなとーしが!」
と叫びながら、この世を去った建築家がいた。

それ以降、私自身“沖縄とは何か?風土とは・・・”
そう意識しながら、ものづくり(建築)に携わってきた。

赤瓦や石積みといった素材を使うだけが、沖縄風の建築とは毛頭思わない。
しかし、昨今のコンクリートやガラス・金属で構成されたシンプルな箱の建築で、
この暑い沖縄で快適に住まうことができるだろうか?

涼を呼ぶ空間づくりを忘れ去り、 人工的な空調に頼りすぎてはいないだろうか?

強い日差しを和らげ、涼しい日陰をつくり出す雨端があり、
内部空間と外部空間が同化し風を呼び込む。
こうした工夫を凝らした住まいは、
今で言うならば
“沖縄”という場所・地域性を熟知した、「環境共生住宅」だった・・・・・・!

振り返ると、島の素材にこだわり“沖縄の建築”を考え続け、
人間らしさの感じられない無味乾燥な周りを見渡し、「これでいいのか?」
と問いかけてきた。

改めて冒頭の師の声が聞こえてくる。

彼の危惧していた、場所性の喪失。
私たちは、より一層進むであろうこの風潮を横目に、
先人たちの知恵を借りながら
“ここ(沖縄)にしかできない新しい建築”
を提案していきたい。