恩納の家+カフェ

 

敷地は恩納村山田の集落内にあり、村道から5m程あがった高台にある。
北側には畑が広がり、その先には東シナ海を望むことが出来る。
一方、東側を見ると山田グスク跡をはじめとした史跡や古道:歴史の道(国頭方西海道)の残る山々やムイ森が望める。
この地で長年暮らしてきた3世帯の家族が、建物の老朽化や子どもたちの独立など住み手の変化により住宅を建替えることとなった。

建替えにあたり、新たな機能としてカフェの併設が求められた。
現役を引退した父は、毎日畑で汗をながす農家となり、こだわりの野菜などを育てている。
「手づくりのおいしい旬野菜をいろんな人に食べてもらいたい」「地域のお年寄りなど気軽に集まれる場所をつくりたい」という思いがあり、
料理好きな母の存在も相まって、カフェをひらく事となった。

海やムイへの眺望をどう活かすか、また住宅とカフェの距離感の取り方が大きなテーマとなった。

 

計画は、住宅とカフェの2つのゾーンをパブリックな空間のナーや水盤、仏間でほどよい距離を保ちながら、ゆるやかにつなぐ配置とした。
カフェ棟はどの場所からも海やムイが見えるよう北側に配置し、開放性や席数確保のため、吹抜けをもつ2階建てとした。
2階席やテラス席からは、景観をよりダイナミックに楽しめる。
南側に配置した住宅棟は東のムイに開かれ、デッキやナーからはカフェ同様、海も望むことができる。
LDKの屋根はV柱で浮かせ1.5層分の天井高さを確保しつつ、カフェや隣家からのプライバシーを保ちながら、空を切り取る開放的な空間構成とした。

 

竣工後、カフェにはすべて父手作りのイスやテーブルなどの木製什器が置かれ、ほっと落ち着くアットホームでくつろげるカフェとなった。
さらに、祖母の趣味の油絵が空間を彩り、地域の方々が旬の野菜料理を楽しみながら談笑する・・・
思い描いていた地域の拠り所となったこのカフェで、さまざまな物語が紡がれていく。

 

 

 

カフェ

 

 

 

カフェ

 

 

 

和室・土間玄関

 

 

 

LDK棟

 

 

 

住宅夕景、夜景

 

 

 

パース 設計段階での内装等のイメージづくりに使用

 

 

 

模型写真

 

 

 

農家カフェ 旬菜庵HP https://noukacafesyunnsaiann.jimdofree.com/