首里の家Ⅴ ~ダブルBOXの家~

敷地は古都、首里の住宅地にある約40坪の土地である。
首里の地域性(歴史性)をどうとらえて建築化するのか、
スタッフたちに問うため所内コンペを行った。
勘違いの案や、地域性を意識した案が少なかったのは残念だったが、
計画のスタディとして、様々な問題点や建築の可能性を引き出せたのは有効であった。
その中で古井戸が残る小さな敷地で首里の地域性をどう表現するのか、
また空間の広がりをいかに生み出し、
街並にとけ込ませるのか、テーマが見えてきた。

計画として部屋のつながりや外部空間との連続性を意識することで小さいながらも奥行きがあり、
風のぬける心地良い空間が生まれた。

古井戸がのこる東側に配置したナーからは、隣家の緑が望め、風が通る。
ナーと道路を結ぶ中心軸にオープンスペース(抜け)を設け、
その両サイドに2つのBOXを配置する構成とした。

土地を購入する際、話し合って残した既存の井戸は琉球石灰岩で新たに再生し、
屋上ルーフに落ちた雨水を井戸へと集め、庭の散水などに利用する計画とした。

 

本土から移住し首里を好きになり数年、思いがカタチとなり新たな住まいが誕生した。
再生した既存の井戸がこの地の記憶を繋ぎ、家族と地域のコミュニティーを繋ぐきっかけとなることを願う。

 

外観を見る。

 

 

 

 

通り土間を見る。

 

 

 

 

各室を見る。

 

 

 

 

連続するリビング・デッキ・ナーを見る。
屋上のルーフで集められた雨水は再生した井戸へと集められ、散水等に利用される。

 

 

 

 

ルーフテラスを見る。
木のパーゴラは影をつくり日差しをやわらげる。
リビング上部のトップライトはテーブルとして利用する。