ぎのざの家 ~空中デッキの家~

地元を離れていた施主が、両親が暮らすこの地に戻り、
家族と暮らすための住まいである。

敷地となる、母が青春時代を過ごしたという屋敷には大きなレンプの木が繁っていた。
今回はこのレンプの大木を残し、
内部空間に緑でろ過した涼風を引き込むよう計画を進めた。

敷地は道路からおよそ一層分下がっているため、
騒音や視線がさほど届かない1階をプライベートゾーンとし、
家族が長い時間を過ごすパブリックゾーンを2階に配した。
レンプの緑をアイレベルとすることで、2階においても外部からの視線を遮り、
何よりリビングから眺める葉の緑が心地よい。

屋根を木造切妻屋根とすることでリビングの天井高を確保し、
小屋組の木の温もりが感じられる空間となっている。

デッキはおよそ18帖の広さ。
建具を開け放つとリビングと連続し、空間をより広くのびやかに利用できる。
床に設けた囲炉裏には、
旧家から取り外した床柱を炉緑に使い、喜んで頂いた。
デッキには外部から直接アプローチでき、建築中から足繫く通って来られたご両親も、
訪れる機会がますます増えるだろう。

大きなレンプの木がこのデッキを覆うように繁り、木陰をつくり涼風を呼ぶ。

設計中に増えた家族と共に、さらに大きく成長してほしい。

 

外観を見る
以前から敷地にあったレンプの木は記憶を繋ぐシンボルツリーとして残した。

 

 

リビングと連続する大デッキは影をつくり、室内へ涼風をおくる。
奥に見える階段はルーフテラスに繋がる。

 

 

リビング・和室
木造屋根の木組により木の温もりを感じる空間となった。

 

 

ロフト・各寝室

 

 

玄関を踊場レベルに設け、高低差のある道路からのアプローチに配慮した。
また、内部においても1・2階どちらとも繋がる計画とした。