名護アートギャラリーの家

 

敷地は名護の区画整理された造成地にある。傾斜する前面道路から高いところで約1層分上がっており、
接道する北西の方向には嘉津宇岳をはじめとしたヤンバルの山々の稜線が望める。
一方、一般的に庭などを配置する南や東側はともに隣地の高い擁壁に囲われており、通風・採光に難があった。
眺望をどう活かすか、レベル差がある周辺の環境にどう対応するか、またアートに造詣が深い施主のギャラリー空間づくりが大きなテーマとなった。

 

計画は、この嘉津宇岳方向への眺望を最大限に活かすため、思い切って北西方向のやんばるのムイ(森)に開き道路側に庭を配置するプランとし、
条件が不利な採光・通風は隣地との距離や窓の位置など慎重に検証を重ねながら進めた。
ナー、デッキとつながるLDKのパブリック棟、寝室などのプライベート棟の2つのBOXをL字型に配置し、その間を吹抜けのあるギャラリー棟でつなぐ構成とした。
開放的なギャラリー棟を通してゆるやかに各スペースの気配を感じることができる工夫をした。
将来の事も考え上まで通した車路のつきあたりには、石積みを設けた。石積みには一般的な石灰岩ではなく、地元本部産のやんばる石を用いている。
屋部川沿いの農地だったかつての光景、土地の記憶をつなぐものとなればとの願いが込められている。

 

どこに居てもやんばるのムイが眺められる、移ろいゆく自然の雄大な景色(アート)が楽しめる住まいとなった。
今後ナーに植栽が生い茂り、やんばるの自然とよりつながっていくことが楽しみである。

 

 

 

外観を見る

 

 

 

アプローチを見る

 

 

 

玄関土間ギャラリー

 

 

 

LDK棟

 

 

 

軒下空間(アマハジ)

 

 

 

2階各所

 

 

 

夜景

 

 

 

模型写真