沖縄らしい家。
これが家主さん夫婦の最初の要望であった。
暑い日差しを遮り涼しい風を呼び込むアマハジ、
赤瓦の軒先、
木の持つ優しい肌触り、
建具を開放すると一つながりになる空間・・・
先人達の知恵がつまったウチナーの民家を現代的にどう解釈し表現するかという事が、
この住まい創りの大きなテーマとなった。
敷地は、北側にホタルのいるクサテムイの斜面が残る閑静な住宅街。
プライバシーとパブリックな空間を分けるため分棟型のプランとし、
各部屋に程よい距離感を持たせ、
それらの間をまるで内部のような外部空間の大デッキでつなぐ構成とした。
建物外観・アプローチ
竹で囲まれたアプローチの格子戸をくぐると、
デッキ、ナー、リビング、和室そしてクサテの緑へと視線が広がり、
奥行きある、ゆったりした、
おおらかな空間が来客を迎える。
大デッキを見る
囲炉裏をもつ大デッキは風や視線の通り道であり、
客人の多い家主さん夫婦の集いの場であり、
クータン(愛犬)とともに生活の中心として、その役割を担う。
和室・デッキ全体を見る
居間吹き抜け
2階茶室
今回、家主(奥さん)の故郷の熊本からヒノキを送ってもらい
和室まわり(柱、鴨居、敷居)中心に使用しました。
伐採から運搬に至るまで関わってくださった親戚の方々、
本当にありがとうございました。
竣工に伴って開かれた見学会では、
自然とこのデッキに人が落ち着き、
炉を囲み、
初めて会う人達が輪となり談笑する姿が見られた。
これこそこのデッキの在り方、
また家主さん夫婦らしい家の在り方が見えた光景であった。