ここ数年多くのメディアがライフスタイルと共に
建築をテーマに取り上げている。
その影響からか「住まい」についての意識が非常に高くなってきた事を感じる。
意識の高まりは環境問題と深く繋がり
リフォームという言葉が大きく言われるようになってきた。
確かにリフォームは、
住まいや建築物の寿命を引き伸ばす事が出来るため
環境問題の点から有効な手段であるだろう。
しかし、その場凌ぎのリフォームでは、
すぐまた対策が必要になってしまう。
西欧では築100年、200年といった「住まい」が
現役で使用されている例がみることが出来る。
これは造り手のみではなく使い手の意識も非常に高く、
リフォームし使い続ける事の利点と魅力を熟知しているためであろう。
長く使い続けていくためには、
なぜ住みにくくなっているか原因をみつけ、
より環境に適した形に変化させてあげることが必要である。
そうして使い続ける事は環境への負荷を低減し、
そして、土地の景色や風土などの記憶を経済的に育んでいくなど、
新築にはない魅力を備える事ができる。
大山の家は、
沖縄でよく見られる外人住宅の改装プロジェクトである。
戦後間もなく建てられた外人向けの賃貸住宅は、
空調による生活が前提にあるため、
断熱に対する意識が低い。
室内は細かく区切られ、風通りが悪くなっており、
空調設備なくしては暑い夏を過ごすうえで過酷な住環境となっている。
この計画では単なる仕上材だけのリフォームではなく、
暑さ対策として、
"空調に頼らずに外気を内部空間にいかに引込むか"
"西日のあたる外皮をどうデザインするか"
"外部空間との連続性のしかけをどうつくるか"
を大きなテーマとして、クライアントと共有することとなった。
外観
改装前・改装後
テーマを実現すべく、
西側に一枚のスリットの壁を配置。
改装前・改装後
道路側スリット壁
改装前・改装後
居間連続するデッキ
デッキ空間を中間領域としてリビングから連続するように配置した。
この空間は、道路の喧騒を遮り、
強い日差しを和らげ、
風を取り込むフィルターのように機能している。
改装前・改装後
開放的な和室
改装前・改装後
キッチンからデッキを見る
改装前・改装後
対面キッチン
今までの内部だけでの生活は外部空間まで広がり、
建具を開け放したデッキで食事をしたり、
子ども達の遊び場になったりと、
自然を取り込んだ生活スタイルを楽しんでいる。