首里の家Ⅱ ~森を望む家~

 

敷地は古都首里の
雰囲気の残る細い路地(スージ)に面した傾斜地にある。
この住宅では、
首里の趣ある雰囲気を引き継いだ住宅にすること。
そして傾斜地のもつ眺望の良さを生かすため、
北側の末吉の森と自然をどう取り込むか?が大きなコンセプトとなっている。
コンセプトを実現するため、
北側にリビングから連続する奥行きのあるデッキを設けた。
それにより末吉の森、デッキ、リビングは連続し、
内部と外部が一体となる計画とした。
自然と一体化した空間からは、
首里の夜景と遠くで動くモノレールの光がみえる。
心地良い風と時間が流れる住宅である。

 

計画当初は既存建物のリフォームと庭部分への増築が要望であった。
計画を進める中で、リフォームや増築では、
傾斜地特有の眺望の良さを生かす事や、
ライフスタイルの変化へ対応させる事が難しいと感じてきた。
なにより増築は構造への負担が大きく、
間取りの大幅な変更は、コストの問題も含んでいた。
新築を選択したのはそうした問題を解決できると思ったからである。

 

なによりも、
この地で年を重ね生活していくなかで
景色を眺める空間を確保出来た事は、
この景色が、
これからの生活に潤いをもたらしてくれるだろうと考えての事である。

 

 

 

外観をみる

新築のプランは親夫婦の生活空間を上階に持ち上げ、
成人した子の空間を程よく距離をおくように計画されている(賃貸する事も考慮して)
そうする事で老夫婦の施主のために
道路レベルからのアプローチを円滑にし
後の生活に負担となるであろう上下の移動を軽減させている。