泡瀬の家Ⅲ+AP ~アシャギのある家~

 

敷地の近くには地域の公民館やビジュル(拝所)があり、
人通りの多いアジマー(交差点)に建つ家である。
施主は体育の教師をしており、
教師仲間や自身が監督する部活動のつながりなど、
その交友関係はひろい。
家づくりに際して思い描いていたのは、
友人や仲間たちが気兼ねなく集える家。
そして離れのある昔の民家のような家だった。

 

ナーを南側に配置することをベースに、
リビングやデッキ、
そしてアシャギ(離れの和室)でL字型に囲む構成とした。
東側の道路沿いは、
セットバックしたスリットの土壁と杉板のルーバーを配置し、
通りの気配を感じとれるようにした。
このスケルトンの壁は、
風を圧縮し冷却化する役割を担い、
ナーや内部空間に涼風を運ぶスクリーンである。
アジマーに面した角地部分には、
植栽スペースをつくり石積みを配置し、
道行く人々を和ませている。
訪れる人はアプローチから玄関を通り抜け、
リビングを介さずにナーへと、
アシャギへと出入りする。

 

こうした気軽さからか、
この家には自然と人が集う。
場が人を呼び、人が人を呼ぶ。
デッキやアシャギが宴の場となる。
またアシャギは、
遠方に住む夫人の両親が訪ねてきたときなど、
母屋とは独立したゲストルームとして機能する。
デッキ、アシャギ、ナーが一体となって、
伸びやかな空間が広がる住まいとなった。

 

 

 

 

外観、アプローチをみる

 

 

 

中庭

 

 

 

アシャギ(離れ)、リビングをみる