那覇新都心に隣接し、住環境が快適に整備された真嘉比地区。
敷地は、かつての集落の名残りが残る“後道(クシミチ)”沿いにある。
先祖から受け継いだこの土地で、地域に根差した暮らしを子や孫達に引き継ぎたいという
施主の思いが、設計時から竣工に至るまでの随所でひしひしと伝わった。
真嘉比殿内を南に臨む敷地の中央に庭を配し、それを取り囲むように各室を配した。
敷地北側には先代が自ら堀り、整備したという井戸を引き続き利用できるよう修繕した。
一階は、行事の際に親族が大勢集まるということで、リビング・仏間から庭へ連続するデッキを
設け、空間の広がりを持たせた。共有のアプローチ・庭を介し二階とも程よい距離感となっている。
着工・竣工時には集落の拝所を巡り、新築の拝みを捧げたという。
落成の折には、真嘉比旗頭青年会による旗頭で“嘉利(カリー)”をつけて頂く運びとなった。
地域を敬い、誇りとしている施主家族。この住まいが、家族はじめ親族・地域の拠りどころと
なることを願う。
外観
デッキ・中庭
中央に配置された中庭は、上下階の空間的な繋がりを生む。
開放的なデッキは、深い庇とルーバーで西日を防ぐ。
1階 玄関・リビング・仏間
アプローチを抜け玄関に入ると、そこから仏間・リビングと連続した空間が広がる。
仏間は障子の付け外しによって状況に応じた使い方ができる。
1階 各所
建物北側には再生した井戸広場とサービスヤードがある。
2F アプローチ・デッキ
1・2階で世帯別に分かれた2階部分は、外階段でアプローチする。
生活動線はそれぞれに確立しつつ、庭空間の開放によって、上下階の関係が保たれる。
2F 玄関・リビング
真嘉比殿内を望む南側開口は広く切り取られ、屋根形状に合わせた勾配天井とともに、開放的な空間を演出する。
2F 各所
外部夜景
内部夜景