読谷の家 ~空中茶室の家~

 

茶室は、「露地」という茶の湯のための庭と一体に構成される。
千利休は、
露地を日常生活の場から隔離された茶の湯の世界への通路とし、
世俗の塵を払う場所として「浮世ノ外ノ道」と呼んだ。

 

 

 

 

 

この住宅の北側の道路から南へ延びる自立した長い壁は、
俗世界との分離をイメージした。
壁に誘われて、外露地を通り、
壁の終点(門)を折り返すと、内露地の世界へと導かれる。
この壁は風水の上でも″ 南入り・南構え ″を基本にしたいという
施主の要望の解決案としても大きな働きを担う。

 

 

 

 

内露地の奥にはつくばいに見立てた水の広場があり、
注がれる水の音で身を清め、
飛び石を渡り内部空間へとアプローチする。
この露地空間は、
一枚の壁により利休の求めた世俗の塵を払う場所として、
訪れる人の「気持ちの切り替えの場」として存在する。

 

 

 

 

室内、空中茶室をみる

 

玄関の扉を開くと、
空中に浮かんだ茶室が目に飛び込んでくる。
この空中茶室は、生活空間とゆるやかに隔離され、
友人をもてなす場・お茶の稽古の席として、
またいずれはお華の教室として使われる予定である。